こんにちは、スーパー四心です。
『金色のガッシュ!!2』を読み進める中で、気になって仕方がないのが、敵として立ちはだかる“カード”たちの存在。
彼らは本当に悪なのか? それとも、ただもう一度の幸せを求めているだけなのか?
本記事では、そんな彼らの正体と目的について、これまでの描写をもとに丁寧に考察していきます。
カードとは何か
ワイグが自らを「カード」と名乗ったことから、この呼称は、彼らの集団を指す名称だと考えられます。
ただし、「カード」が仮面ライダーにおけるショッカーのような、トップを頂点とするピラミッド構造の組織なのかどうかは作中では判断できません。
べリエルがトップなのは間違いないと思いますが、、それぞれのカード同士に上下関係があるようには見えず、指揮命令系統もバラバラに動いているように見えます。
とりあえずオレは「ワイグ」と呼べ
それがオレという「カード」の名前だ!!!(Page.2)
ベリエルの目的
劇中では明言されていませんが、Page.12のベリエルの台詞やPage.16のアシュロンの発言から、以下の目的が浮かび上がります。
- 魔術という力の奪取
- 魔物を根絶やしにすること
- 命乞いをした魔物は奴隷にする
いつものように討伐体を組み殲滅
命乞いをした者は奴隷として捕獲しろ(Page.12)
魔術という「力」を奪うことが目的と思ったが その上なぜ魔物を根絶やしにするのか?
奴らが魔界を居住地にする感じもないのだ 後 魔物を奴隷として捕らえ始めたのも気になる(Page.16)
さらにPage.7では、バオウを前に「コレがあれば全ての夢が叶う」と語っており、単なる破壊ではなく、より遠大な目的を持っていることが示唆されます。
カードとは何者か
Page.7から、ギルとワイグは一度死んだ後にベリエルに蘇らされたことが明かされます。
アレは元々死んでいたものだ お前もだろ?(Page.7)
Page.16では、アギレラ国の戦士が次の手順で蘇生したとされています
- 戦によって死んだ
- おかしな所をさまよった
- 変な水槽の中にいた
- 目の前にべリエルがおり、「もう一度〇〇したいなら生かしてやる」と言った
- 受け入れると肉体が復元されていた
この流れから、カードのメンバーは皆一度死を迎えており、ベリエルの提示する“代償付きの復活”を受け入れた者たちだと推測されます。
レビーや鼻毛ブーは人間に近く、ギルも「元人間だった」と語っており、人間の死者が含まれていると見てよいでしょう。一方、ワイグやゼブリット・ブラザーズなどはどう見ても人外に見えます。出自が魔物、もしくは別世界の存在かもしれません。
仮に魔物も人間も蘇らせることができるとすれば、ベリエルの力は種族の壁を越えて魂を操れるほどに強大であるということになります。ベリエルの生前?が何であるかは置いておいて…。
カードの美学と絆
ワイグは敗北の際、清麿たちの強さを讃え、「最高の45秒だった」と語り、仲間のギルには「あばよ!」と声をかけます。ギルもまた、ワイグの死に激昂しており、深い絆を感じさせます。
レビーをかばって命を落とす鼻毛ブーや、ブルーの命に抗議するボビーの姿からも、カードの内部には確かな仲間意識が存在していることが分かります。
オレはこの命に未練はない
どちらかと言えば不遇なお前に肩入れをしたかっただけ(Page.11)
また、ジリオンは冷酷さを見せつつも、ブラゴとの対決を望み、清麿の覚悟を認めるなど、“強者との真剣勝負”を重んじる人物であることが示されました。彼の態度には、力を誇示するだけでなく、誇りを持って戦う武人としての矜持が見えます。
Page.21のブルーの「生きるためには嫌なこともしないとダメ」という台詞も印象的で、彼らが“命令によって仕方なく戦っている”立場である可能性が浮かび上がります。
生きる為には嫌なこともしないとダメなことは
(中略)
もう一度生をやりなおせるって魅力的じゃない?
ちょっと我慢すれば幸せがもらえるのよ(Page.21)
カードたちの本当の目的
回想シーンから読み解く”願い”
- アギレラ戦士:暴力と略奪を再び楽しむため
- ギル:知の探究
- レビー:愛する動物たちと暮らすこと
Page.9では、レビーの家族(動物たち)が殺される描写があり、それが彼女の復活理由であることが示唆されます
「魔物を滅ぼすことが私の役目」との発言も、本人の願いではなく、復活の条件としてベリエルから課された任務と解釈できます。
他のメンバーも、「戦いたい」「力を証明したい」「幸せを取り戻したい」など個別の願いを抱いており、ベリエルに従っているのはその代償である可能性が高いです。
魔物の命を奪うという行為について
ただし、カードのメンバーがその願いを果たすために行っている行動には、明確な「命の殺傷」が含まれています。
旧作では、魔物の本が燃える=退場という形式で命は奪われず、死の描写は極力避けられていました。『ガッシュ!!2』ではこの原則が覆されており、「戦いにおける倫理の変化」が示唆されます。
しかし、ワイグの「最高の45秒だった」やブルーの「生きるためには嫌なこともしなきゃダメ」といった台詞を鑑みると、彼らは命を奪うこと自体を目的としているわけではなく、「命令」や「復活の条件」の一部として戦っているようにも見えます。
つまり、命を奪うことはあくまで手段であり、彼らの内面には迷いや矛盾も存在しているのではないでしょうか。
命と魂のしくみ
用語整理(本記事の解釈)
ここでは、『ガッシュ!!2』に登場する以下の3つの概念について、本記事の解釈として整理を試みます。
- 命:生命活動を司るエネルギー体。可視化され、ボール状の光として保存・運搬される。
- 魂:人格・記憶・意志を備えた精神的な存在。死後も存在しうるが、本来は成仏すべきもの。
- 器:命や魂を宿す媒体。作品中に明示的な呼称は登場しないが、本記事では「ミイラや復元された肉体」などの宿主を便宜的に「器」と呼ぶ。
要素 | 正体 | 機能・役割 | 備考 |
---|---|---|---|
命 | エネルギー体 | 器に戻すことで蘇生可能 | 魔物に使用される 持ち運び可能で出し入れができる可能性 |
魂 | 意識・人格 | 本来は成仏すべき | カードはこれを元に復活 弱点の「球」である可能性がある |
器 | 肉体・媒体 | 命や魂を宿す器 | ミイラや仮の肉体など |
命は蘇るか?
『ガッシュ!!2』では、命は抽象的な概念ではなく、可視化されたエネルギー体として描かれています。ミイラなどの“器”にこの命を戻すことで、魔物たちは復活を果たします。
一方で、命の復活には明確な制限もあります。たとえば外伝『友』に登場したムームの姉、Page.1で死亡したジギーは蘇っていないことから、命の復活にはタイミングや条件があることがわかります。
この描写は、旧作での「戦いの傷は元に戻る」という本の機能とは対照的であり、『ガッシュ!!2』が死生観や倫理観を一段深く掘り下げた物語であることを象徴しています。
今のこの時点を持ち、今までの魔物の戦いにおいて傷ついた人、物、自然を元の状態へと戻します。
(16巻 LEVEL.322)
魂と器
作中では、魔物は「命」、カードは「魂」と用語が使い分けられており、両者は別の原理に基づく生命である可能性があります。
仮に用語の使い分けが「魔物は生き返るがカードは生き返らないという意味」だとすれば、そもそも魔物を一度死なせた理由がわかりません。
- 命:肉体とは別に保存可能な“エネルギー体”。器に戻すことで生命活動が再開する。
- 魂:問いに答えると復活するが、基本的には成仏すべき存在。カードの弱点である「球」が魂である可能性はある。
特にカードは「不遇な魂」としてダウワンに語られており、本来は成仏すべき魂が戦わされているという構図が強調されています。つまり、命は復活の可能性がありそのための秘術も存在するにもかかわらず、魂は成仏させるべきだと明確に分けられています。
本来ならば成仏せねばならぬ魂が閉じ込められて戦わされておるのだ
不遇な魂を開放させる気構えで戦うのだ(Page.16)
また、『ガッシュ!!2』では、ガッシュ、ブラゴ、ウマゴンといった主要魔物たちも、ミイラを器として仮の肉体で復活しています。これは明らかに“生前の肉体”ではないにもかかわらず、生命活動や術の発動が可能となっており、「命」と「器」が分離して機能していることを裏付ける描写です。
ただし、これはあくまで暫定的な措置であり、本来(生前)の肉体に戻る必要があるのではないかと推測されます。
一方で、現時点では生前の肉体の保存状況や再生方法、命の戻し方などについては明示されていません。これは、
- 生前の肉体はすでに消滅・崩壊している
- 本来の肉体は別の場所で保管されている
- 秘術によって新たに肉体を再構成できる
など複数の仮説が成り立ちます。いずれにせよ、「仮の器から本来の肉体への回帰」が今後の物語上の鍵になる可能性があり、命と器のテーマは今後も継続的に掘り下げられていくと思われます。
ご飯も美味しく食べられるが自分の体ではない事は確かだ
借り物の体という所かのう(Page.7)
(仮説)べリエルの正体と真の狙い
「命を蘇らせる秘術」が王位継承者に受け継がれるとされており、ベリエルが方法はどうあれ死者を蘇らせることができるということは、かつての魔界の王であった可能性が高いです。
自らに秘術をかけ死後に復活し、死者たちを配下にして魔界を掌握しようとしている…。そのような存在像が浮かび上がります。
アギレラ国の戦士が魔界でも人間界でもない世界の者であったこと、またベリエルが過去の本の持ち主たちを排除しようとしていることからも、彼が“過去の災厄”や秘術について知っている=王経験者であると、私は考えています。
カードの役割と今後
カードのメンバーは皆、「叶えたい願い」を持ち、それと引き換えにベリエルに従っています。これは、かつてゾフィスが千年前の魔物たちに魔界での地位を約束して従わせた構図と類似しています。
また、「戦いたくない者に無理やり戦わせる」という構図は、ガッシュや清麿が最も否定してきたラスボス像に重なります。
とはいえ、彼らは「家族と生きたい」「知を求めたい」「もう一度幸せになりたい」といった純粋な願いを抱いた者たちです。
だからこそ、彼らが最終的にベリエルの支配から解放され、ガッシュたちと共闘し、自らの願いを果たして静かに成仏する…そんな展開も期待したくなるのです。
🧠 まとめ
- カードの正体は「死者をベリエルが蘇らせた存在」
- 彼らは“叶えたい願い”と引き換えに戦っている
- 命・魂・器の3つを分けて考えると構造が見えてくる
- ベリエルはかつての王だった可能性もあり、秘術を用いて魂を操っている
- 単なる悪ではなく、葛藤や信念を抱えた存在たちでもある
🔍 次回考察への導入
カードとは一体何者なのか?
悪なのか、それとも「もう一度やり直したい」と願うだけの存在なのか?
作中で描かれた情報をもとに読み解いていくと、彼らはベリエルに蘇らされた“元・死者たち”で、それぞれが何かしらの目的や未練を持って復活してきたことが見えてきます。
命を奪うという行動だけを見ると、敵であることは間違いないですが、どこか葛藤や筋の通った信念も感じられるシーンが多く、単純に「悪」と断じるのは難しそうです。
彼らが本当にやりたいことは何だったのか?
命令に従って動いているだけなのか?
あるいは、いずれ自分の意志で進む道を選べるようになるのか?
そんなことを考えながら、今後の展開を楽しみに待ちたいと思います。
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