こんにちは、スーパー四心です。
魔界って、謎に満ちてますよね…。旧作『金色のガッシュ!!』では魔界の描写は数えるほどしかありませんでした。
パッと思い出せるのは13巻 LEVEL.261のゼオン折檻シーンと、14巻 LEVEL.280で本が見せた無人の魔界くらいです。
アニメでは魔界に行ったり来たりしているようですが、私はアニメ版を別作品と考えているので、あくまで原作と続編のみで考えていくと…どう考えても、魔界はたった一人の王が治められる規模ではありません。
少し真面目に魔界の構造を考えてみます
魔界とは国か、世界か
作中で参考になりそうな情報
魔界の地名はガッシュ2になってようやくいくつか出てきました。
- 竜族の聖地 龍の要塞(ドラゴン・フォート)
- 魔界で一番北の大地ジエラド
- コールヴォー雪原エリオス城塞
- 虹の頂 龍のとまり木
地図を作るほど地名がありません。距離感を掴める情報は、エリオス城塞からドラゴンフォートまで「ゴウ・シュドルク」を使っても10日かかるということだけ。
ヌ…ゴウ・シュドルクでも
ティオがいるドラゴンフォートまでは10日以上かかるのだ(Page.29)
これだけで魔界の規模感を測るのは困難ですが、とんでもない広さがあると見て間違いなさそうです
よく考えたらアシュロンやデモルトなどの巨体が何体もいるはずなので、広さはとても大きいはずです。
国か、世界か
ではこの魔界は「国」でしょうか?「世界」でしょうか?
わかりやすく現実の地球に置き換えると、魔界の王という役職は
王政のある国の王=国王なのか、世界征服を果たした地球の王なのか?ということです。
国王であるなら、魔界には「魔界という国」以外にいくつかの国が存在しなければならず、魔界の王は田舎の国家元首に過ぎない可能性があります。
仮に魔界=世界であるなら、世界征服を果たした唯一王となり、世界のすべてを統治する王でなければなりません。
「界」という漢字の意味(参考:https://kanji.jitenon.jp/kanji/259)から推測するなら、「ある一定の範囲、果て」ということになります。
作中で「魔界の王」は常に一人しかおらず、それに並び立つ権力者や役職の描写もないことから、魔界の王は魔界という世界の王という意味だと解釈するのが自然な気はします。
魔界=世界で、魔界の王=世界統一王だとすると無理がある
ここからが魔界の構造的な欠陥の話になります。
仮に魔界が世界だとするなら、作中描写されているだけでもイカれた距離感の世界をたった一人の王が統治していることになります。
日本から一番遠いウルグアイですら飛行機で30時間ちょっと(参考:https://madeinjourney.com/world-japan-far-ranking/)であることを考えると、魔界のスケールはハンパねぇということ。そんなに広い範囲を、一人で…?
魔界の王=魔界最強ではない
魔界の王は人間界での戦いを生き抜いた最強の存在ですが、あくまで魔物100体の中での最強であって、魔界最強ではありません。
ダウワンは1000年前の戦いでは最強だったかもしれませんが、魔界にはダウワンを超える魔物がいるはずです。
許せ。
バオウは年老いた私では手に負えぬ術となった。(14巻 LEVEL.272)
これは魔界の王も老いることを表した極めて重要なセリフです。
1000年前ならいざ知らず、年老いたダウワンなんてイキの良い魔物なら勝てるかもしれません。
もちろん、ガッシュにも…。強さ議論は不毛ですが、魔界の王が魔界で一番強いかというと、そんなことはないはずです。
外伝『友』で描かれた魔界のエグい格差
さらにマズいことに外伝『友』に登場する魔物の子、ムームは作中の描写を見る限りスカベンジャーで、ストリートチルドレンです。
ガッシュの学校からかなり近いところに住んでおり、さらにさらにマズいことに、ムームのお姉ちゃんは亡くなってしまいました。
王様は忙しいから僕達を見ない!!
姉ちゃんも元気だった頃は
毎日王様に向かってお願いすれば食べ物をくれるって……
(中略)
そのまま動かなくなったんだ…
姉ちゃんは……動かなくなったんだ!!!(金色のガッシュ!!20周年ありがとうなのだブック 外伝:友)
ついこの前まで人間界で戦い続けて、最近王になったばかりのガッシュを責めるのは酷です。
しかし、普通に学校に通える魔物の子供たちにあまりにも近いところでストリートチルドレンが生まれ、亡くなっている現実があります。
先代であるダウワンの統治が悪いのか、ムームがとりわけ不幸な生まれ(ゴームのような)なのか、原因はわかりませんが魔界の格差はエグいところまで来ているのがわかります。
信じられねぇ多様性・他民族社会
オレはみんなが仲良くできる魔界を作りたかった…
オレ達ドラゴン、人型の魔物、動物型、植物型、他も全て…
みんな仲良しの魔界だ。(15巻 LEVEL.291)
これはアシュロンの台詞ですが、これ以外にも小人族がいることが判明しており、魔界は統率なんてとれっこないほどの多様性・他民族社会であることがわかります。
親だって怖がって逃げちまうこのオレによ~~~~~(12巻 ガッシュカフェ)
エルザドルがこんな愚痴を言う程度には、種族ごとのバランスが取れていません。つまりドラゴンの中ですら強弱はあって、弱い魔物は存在します。
そんな社会を一人で統率することは不可能です。世界中に色んな民族が散らばって、大きさも戦闘力も寿命もまちまちな世界で意思の疎通なんてできません。まして、ストリートチルドレンに目を向けるなんて不可能です。
ダウワンの治世1000年で3度の戦争という現実
大きな戦争も3度…いずれも魔界が滅ぶのではないか?と言った規模(16巻 ガッシュカフェ)
先ほども述べたとおり、魔界の王=魔界最強ではないので、戦争が起きたら王が一人で鎮圧というわけにはいきません。それができるなら魔界が滅ぶのではないか?という懸念は生まれません。
そして、現在作中でガッシュが直面しているカードとの戦闘。明らかに魔界の者ではない者との戦いですが、ダウワンも同じ戦いを経験しています。
大きな戦争のうち一つは魔界の者ではない者との戦い!!
我々が全ての力を奪われたその時
あなたは現れて助けてくれた!!(16巻 ガッシュカフェ)
これについてはコチラの記事も参考にしてください。

つまり、魔界は一枚岩ではありません。王の名のもとに統率が取れている範囲は割と狭く、いつでも内乱が起きる火薬庫のような状況だと想像できます。
ガッシュの治世は始まって10年そこそこですから、今のところは先代の威光が効いているでしょう。
少なくとも、カードとの戦いの間は内乱は起きません。多くの魔物がすでに命を落としている以上、内乱の余地もないのが現実です。
この先100年200年とガッシュの治世が続き、かつてのパートナーが皆亡くなってしまった後、ガッシュたちをまた戦争や脅威が襲うことはあり得るし、少なくとも魔界はずっとそんな調子なのだと思います。
魔界はもう、たった一人の王で統治しきれないくらい膨れ上がってしまいました。
今こそ魔界をいくつかの国に分けそれぞれに国王を置き、国王を統治する魔界の王=魔王を置くべきです。
少なくとも、最終話を見る限り魔物の子供たちは学校で仲良くやっているように見えます。
わかりあえるはずなのです。あの辛い戦い、神の試練と呼ばれた戦いを乗り越えた子供たちなら、きっと乗り越えられるはずなのです。
魔界が良い世界になることを、人間界のオタクは願っていますよ…。
🧠 まとめ
- 魔界は国ではなく「世界」規模で描かれており、その統治をたった一人の王が担うのは無理がある
- ガッシュたちは魔物100体中の最強だが、魔界全体での最強とは限らない
- 外伝『友』では、王の目が届かずに命を落とす子供が描かれ、格差の深刻さが浮き彫りに
- 魔界は種族・文化・戦闘力の多様性が極めて高く、一元的統治には限界がある
- 1000年間で3度の戦争、王の統率力には物理的・構造的な限界があると考えられる
- 解決策として「分割統治+魔王制度」のような新たな体制が必要ではないかと提案
🔍 次回考察への導入
今回の考察では、魔界という社会構造の抱える問題点を整理しました。
魔界に関する情報は少なく断片的ですが、せっかく物語の舞台になったので、これからもたくさん考察していきたいと思います。
🧠 他の考察も気になる方へ
『金色のガッシュ!!2』に関する考察記事をテーマ別にまとめました。
