こんにちは、スーパー四心です。
Page.32が公開されて、当ブログのジルノーズ関連の記事もたくさんの方に見ていただきました。
公開前に出した「ジルノーズの能力は回復・バフ・デバフなどの魔法使い系」という考察は外れましたが、こういうのは正確性よりもスピードですからね。私は謝らない。
この記事はPage.32及び、私がこれまでに出したPage.32に関する3本の記事を読んでいることを前提にしています。まだ読んでいない方は、先にそちらを読んでもらえるともっと楽しめます。



ジルノーズの能力
まず、Page.32で語られたジルノーズの能力をおさらいしておきましょう。
「人形を造り出す」術
ポイントは3つです。
- 人形を造り出し、動かすことができる
- 初級術で造る人形は小さく、簡単な動きしかできない
- 上級術で造る人形は「本物の肉体のよう」である
おそらく『ミラコプス・ノヴァ』が上級術で、『ミラコプス・アルテレゴ』は初級術であると思われます。
そして、魔物の復活に使用した「ミイラ」は、3000年前のジルノーズの先祖が造り出し、遺跡に安置した物であることが語られました。
清麿の見つけた遺跡にあった 魔物の魂の入れ物となるミイラは
全てジルノーズの3千年前のご先祖様が造ったと言われておる(Page.32 36~37P)
Page.32で描かれた『ミラコプス・ノヴァ』のシーンは、どう見ても遺体を呪文の書かれた包帯でグルグル巻きにして造っているように見え、現実世界におけるミイラの製法に酷似しています。
古代エジプト人がミイラを造った目的は「来世で復活するため」です。
肉体が保存されていることが、死者が復活する条件と考えられていました。ガッシュ2におけるミイラの目的もそれと同じです。現に、いくつかの魔物はミイラから復活し、肉体と生命を維持しています。
カフィーがジルノーズを頼る理由
また、カフィーが危険を冒してまでジルノーズを復活させた目的も語られました。
エレビーを自由にしてやりてえんだ
べリエルの操り人形のようなこの体から解放してやりたい
新しい球とジルノーズの術で 自由な命ってヤツを与えたい(Page.32 24P)
カードは生かされている
カードは死後、べリエルの問いに答えることで復活します。(Page.16 25P)
その命は条件付きであり、べリエルに従うことを条件に”生かされて”います。(Page.21 11P)
とびきり役に立つことだ(Page.22 36P)
作中に明確な描写がないため推測ですが、カードはミイラの肉体で復活しているようには見えません。生前の姿(肉体)のまま復活しており、感情もあります。ただし、球が弱点であり、破壊されると消滅します。
過去の記事でカードと魔物の「命の在り方」について詳細に解説していますので、良ければそちらもご覧ください。

カフィーは新しい球を持っており、それをジルノーズが造り出した肉体に入れることで、エレビーを自由にしようとしています。(Page.32 24P)
清麿も疑問を口にしていますが、仮にこれが成功した場合、カードや魔物の構造的な違いがごちゃごちゃになってしまい、単に「本とパートナーが必要なのが魔物」で、「それ以外は全部カード」になってしまいます。
今回の考察は、ここをスタート地点にしています。お待たせしました、ここまでが前置きです。

エレビーは絶対自由になれない2つの理由
カードの生存条件から見た理由
まず、カフィーが持っている球はエレビーの魂ではありません。エレビーの魂は現にエレビーの肉体にあり、生きているからです。
そして、エレビーの肉体もエレビー由来の物であり、エレビーの魂と肉体はオリジナル(”元々の”という意味)であると考えられます。
エレビーもまた、べリエルの問いに答え、何らかの条件の元復活したと考えるのが自然で、カードの設定を邪魔しません。
ベリエルは離れていても球を破壊し、カードの命を奪うことができます。(Page.16 26P)
そのためにカフィーは、自身の持つロープの能力で球を守り、ベリエルの監視から逃れています。(Page.32 23P)
しかし、こんな企みはいつか露見します。
露見しなければ物語にならないというメタ的な視点もありますが、カードを生み出したベリエルが、カードの能力に騙されるか?という問題があるからです。
べリエルに頭脳戦で勝つのは清麿でなくてはなりません。そうでなければ、べリエルが小物になります。
カードの生殺与奪はべリエルに握られており、どんな手段を使おうがエレビーは自由になりません。これが1つ目の、カードの生存条件から見た理由です。
命と肉体の結びつきから見た理由
先ほど申し上げたように、カフィーの持つ新しい「球」はエレビーの魂ではありません。仮にジルノーズの術を使ってエレビーを自由にするなら、以下の条件が必要になります。
- 現在のエレビーの「球」から魂を安全に取り出す
(おそらく現在の肉体は魂を失って朽ちる) - カフィーの持つ新しい「球」に定着させる
(肉体のない「魂」だけの状態になる) - ジルノーズが『ミラコプス・ノヴァ』で新しい肉体を生み出す
- 新しい肉体に「球」を入れる
大前提として、この条件が達成されたときに生きている生物はエレビーでしょうか?
「魂」はオリジナルです。でも肉体は造り物です。仮に全く同じ姿を造り出せたとして、これはカードになる前と同じ、オリジナルのエレビーたりえるでしょうか?
同じことが、ガッシュたちミイラから復活した魔物にも言えます。
スワンプマンという思考実験があります。ハイキングに出かけた男性が、沼のそばで落雷に撃たれて死んでしまいます。しかし、落雷の影響で沼の中から男性と全く同じ容姿と記憶を持った生物が生まれ、男性の住む家に帰っていきます。(参考:Wikipedia スワンプマン)
この、沼から生まれた生命は男性と同じでしょうか?私には、違うように見えます。全く同じ容姿と記憶を持っていても、それはオリジナルではないと感じます。
我々が知る限り、ガッシュは生前と同じ容姿と記憶を持って復活していますが、この「ガッシュ・ベル」と呼ばれている魔物は本当に「ガッシュ・ベル」でしょうか?もちろん、そうでなければ物語として成り立ちませんが、オリジナルのガッシュが死亡したことは確定しています。
同じように、仮に上記の条件を満たしたとしても、オリジナルのエレビーは一度亡くなってしまっており、「自由な命」は土台無理、取り返せるはずがありません。生命は不可逆です。死んだ者は生き返りません。
カフィーの計画を成し遂げるには、ジルノーズが神でなくてはならない
先ほどの条件を再掲します。
- 現在のエレビーの「球」から魂を安全に取り出す
(おそらく現在の肉体は魂を失って朽ちる) - カフィーの持つ新しい「球」に定着させる
(肉体のない「魂」だけの状態になる) - ジルノーズが『ミラコプス・ノヴァ』で新しい肉体を生み出す
- 新しい肉体に「球」を入れる
このうち、現有戦力で達成できるのは③のみです。
他の①、②、④は、そんな描写も、そんな能力を持つ魔物もカードも出てきたことがありません。ギリギリ可能に思えるのはベリエルですが、それも描写を見る限り不可能です。
もし、ベリエルに魂の移し替えができるなら、もっと強い機能や能力を持った肉体に移し替えれば良いのです。ケガをし、血を流す生身の肉体で生き返らせなくても、機械の体でも与えておけばよいでしょう。
魂を取り出し、定着させ、移し替えるという過程が、ジルノーズにできるとは思えません。ジルノーズの能力は「人形造り」であって、魂の操作ではないはずです。もし可能なら、「なんでもっと早く出さなかったんだ」という話になります。
仮に魂の操作ができるとしたら、それは神だけでしょう。神ならば意のままに命を復活させても違和感はありませんし、魂の移し替えも流行りの転生的なアレで何とかなるでしょう。問題はガッシュに今まで神が出てきたことが無いことですが。
現時点で最も神に近いのは、死者を復活させたガッシュとべリエルです。魔物側の神、カード側の神と言い換えても良いですが、どちらも魂の移し替えはしていません。やはり、カフィーの計画には致命的な穴があるように思えます。
つまり、ジルノーズの能力でエレビーを自由にするには、ジルノーズが神でなくてはなりません。そうなると、物語が破綻します。「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな」というわけです。

超展開でカフィーの計画を達成する方法
ここからは、何とかしてカフィーの計画を達成する展開を考えます。
まず、ジルノーズには「シン」の術を覚えてもらいます。『シン・ミラコプス・ノヴァ』でもなんでも良いですが、作中最強ランクのシンの術を使えば、魂の操作も可能になるかもしれません。
その上で、ガッシュの王としての能力か、不思議なことが起こったでもなんでも良いのですが、エレビーを魔物として転生させ、本とパートナーを用意します。
私は本が燃えても命は失われないと考察していますので、少なくとも遠距離で殺害されることはなくなります。

例えば、エレビーのパートナーがカミラだったら意外性があります。カミラとエレビーが、今度はカフィーを自由の身にするために活躍するとしたら…興味はあります。面白いとは思いませんが。
或いは、「生命を守る力」に目覚めたであろう、コルルに何とかしてもらうという線もあり得ます。
Page.32時点でコルルは未登場ですが、Page.16の18Pに出た魔物がそうでないかと予想されています。『シン・ライフォジオ』を取り戻せば、エレビーの命もどうにかなるかもしれません。
その光の中なら、水の中ででも宇宙空間でも、「生命」というものを守ってくれる。
ガッシュ…私、人を傷つける術だけじゃなく、こんな力も持ってたわ。(16巻 LEVEL.318 276~277P)
そして、コルルが「命」を司る神、エレビーが「魂」を司る神として君臨し、全ての命をあるべき場所に取り戻したあとは、共闘してベリエルに立ち向かう…という筋書きもあり得るかもしれません。面白いとは思いませんが。
私のカフィーとエレビーに対する意見
私はエレビー、カフィー共にベリエル(または手先の者)によって命を落とすと思っています。
その非道な行いにガッシュと清麿が激怒し、必ず倒すことを誓うとすれば筋は通るし、彼らの性格にも合います。しかし、ベリエルの遠隔パワハラや残虐性は、Page.16のアギレラの戦士のシーンで過不足なく描写されています。
エレビーもカフィーも、人気キャラクターです。彼らを酷い目に遭わせてまで残虐性を強調する必要があるかどうかは、甚だ疑問です。
かつて少年だった大人を対象にした漫画である以上、ある程度の理不尽さや鬱展開は必要かもしれません。だからこそ、旧作で一切描かれなかった「死」を物語の土台として据え、生命や肉体を取り戻すストーリーにしたのだと思われます。
問題は、「誰もそんなガッシュは見たくない」ということです。何があろうと死なないのがガッシュの良さであり、永遠の別れは魔界と人間界の断絶という形で語られていました。
今回、魔界と人間界の行き来を自由にしてしまい、本の設定も(おそらく)変更されました。
この設定変更が物語に重大な影響を与えており、考えれば考えるほど、カフィーとエレビーには悲惨な目に遭う以外の役割がありません。
だったら、最初から徹底した悪役にして、ジリオンやワイグくらいの「熱さ」をチラ見せするだけにしておけば良かったのに…と、思ってしまうのです。
🧠 まとめ
- ジルノーズの能力は「人形を造り出す術」であり、魂の操作はできない
- カフィーの計画には「魂の移し替え」という致命的な前提破綻がある
- 魂と肉体の同一性は不可逆であり、復元できたとしても“オリジナル”ではない
- ガッシュやべリエルでさえ魂を移し替えてはいない=神レベルでなければ不可能
- 可能にするためには「シンの術」や「魔物への転生」といった超展開が必要
- しかしその場合、ジルノーズが“何でもアリ”の神になる=物語の破綻を招く
- 現状、カフィーとエレビーには悲惨な未来しか見えず、物語上の必要性が不透明
🔍 次回考察への導入
正直なところ、Page.32はあまり考察するような話の厚みがなく、これ以上話を広げるのは困難です。あとはもうカフィーとエレビーは兄妹とか、恋人同士みたいな超理論になりそうです。
🧠 他の考察も気になる方へ
『金色のガッシュ!!2』に関する考察記事をテーマ別にまとめました。

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